認知症予防の回想法ワンポイント <認知症と1H回想話法>

1、認知症は記憶を失う老化現象

 認知症は病気と言うよりは加齢に伴う老化現象です。認知症は誰にでも起こりうる症状です。カラダの健康を維持するようにアタマ(大脳)の健康も維持しましょう。認知症を簡単に表現すれば、加齢によって大脳細胞が消滅していきます。それにともなって生活に必要な記憶もいっしょに消えてしまうのが認知症です。だから「思い出さない」「しゃべらない」が一番認知症によくない環境です。しゃべらない環境にいると言葉を失ってしまうので、楽しいおしゃべりが認知症予防です。

2、10歳~15歳の記憶に“ADL記憶”が含まれている。

 電話番号が覚えられなかったり、新しい電気製品の操作がわからなかったり、料理がうまくできなくなったりするのは認知症と言うより、老化にともなうボケ症状なので自然のことだと言えるでしょう。しかし、お風呂で体を洗う方法を忘れたり、収納場所を間違えたりすることは認知症です。ADLとは着替えや整理収納など「日常生活行動」のことを言います。ADLはすべて10歳~15歳までに教えられ「記憶」されたもので、いわゆる「しつけ」そのものです。だから認知症によって10歳~15歳の記憶が消えるとADLも同時に消えてしまうのです。

3、HOW?のおしゃべり回想法(1H回想話法)

 回想法のことを簡単に言うと、懐かしい想い出を話題にしておしゃべりすることは、右脳で浮かんだ記憶の映像イメージを、左脳が言語化していく作業です。場面の様子やどんな風だったか、といった映像イメージを中心にしたおしゃべりを「1H話法」といいます。記憶しているその時の様子や場面をおしゃべりすると楽しさが倍増します。たとえば、子どもの頃に友達といっしょに公園で遊んだ映像を回想イメージします。滑り台の場面でどんな風に滑ったかを想い出しながらおしゃべりするのが楽しい1H回想話法です。

4、脳細胞が酸素を消化するおしゃべり回想法(認知症予防)

 大切なADL記憶を消さないためには、老化にともなう脳細胞減少のスピードを軽減することが必要です。それが認知症予防です。認知症予防には脳細胞へ酸素を供給することが大切です。でも、脳細胞が酸素を消化できるように「記憶活性化」しないと、せっかく脳細胞へ供給された酸素は活用されずそのままカラダへ戻ってしまいます。しっかり酸素を「脳内消化」させるためには、回想法による昔の想い出話で楽しくおしゃべりするのが一番。おしゃべりして、笑って、おいしい食事をいただく。こんな素敵なおしゃべり回想法が認知症予防ならば、すべての人が楽しく実践できますね。

投稿者プロフィール

日本回想療法学会
日本回想療法学会
回想療法は、2000年から普及されてきた最新の認知症予防・介護予防技術です。
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