旅立った親の人生を偲ぶ回想法アルバム
1-3, アルバムに自分の若いときの姿を見ると、親は笑顔になる。
高齢者は自分が若く美しかった頃を思い出すと笑顔になる。まるで自分が60年もタイムスリップしたように。ただただ嬉しい気持ちで満たされる。同窓会でも同じことが言える。高校時代の級友に久しぶりに会うと、すぐに自分が高校生になったような気持ちなっておしゃべりに花が咲く。話題の内容が高校生時代であれば、たとえ級友がおばあちゃん姿であっても気にしない。おしゃべりしているときは自分の姿は見えないから。
1-4, アルバムを見て笑顔になれば、認知症の進行が遅れる。
大脳記憶のほとんどは「映像イメージ」で記憶されている。60年ぶりに思い出す記憶であっても色あせないのは、記憶されているイメージ映像が鮮明で楽しいポジティブ感情をもたらすから。たとえば、スポーツの試合で勝利した記憶、自分の作品が入賞した記憶など嬉しい記憶がイメージ映像で大脳に記憶されている。その映像記憶をアタマの中で見ながら言葉にすると楽しい会話になる。親子であれば、その映像と同じ映像(同じ場面や状況)を共有している子とのおしゃべりは、楽しくて嬉しいに違いない。楽しい笑顔があれば記憶が維持されるので認知症の進行が遅れる。
1-5, アルバムを見ながら子(遺族)が、天寿を迎えた親を偲ぶことができる。
認知症の発症ピークは75~80歳。男性の平均寿命は81歳、女性の平均寿命は87歳だから、認知症が発症してから10年くらいで天寿が終わる。人生の最期は笑顔でありたいと願う親。そして笑顔で送りたいと願う子は多い。今や死をタブー視する風潮は薄れた。
1990年代、親にがん告知する医師は少なかった。子は癌の親に、
「胃潰瘍だからすぐに退院だよ」
とウソをついた。それが当然だと子は思った。しかし、親を送ってみると、
「もっと死出の準備をさせたかった」
と後悔する子が多かった。2020年代は癌の告知は一般的になっている。癌患者本人が癌をどうとらえ、自己決定により癌との人生を送ることができる時代となった。
認知症も同じように感じる。一般的に見ると認知症を発症してから10年後に死が訪れるとするならば、本人が認知症を自覚し、自分という存在意識を失わないようにする努力を行い、結果として人生の店仕舞いとしての死を迎えることができるよう、子はそれに協力すべきだろう。そして、本人が喜びをもって天寿を全うできたら、それを子として誇らしく感じることだろう。 旅立った親の人生を偲ぶために「回想法アルバム」が役に立つ。
投稿者プロフィール
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回想療法は、2000年から普及されてきた最新の認知症予防・介護予防技術です。
日本回想療法学会では、弊学会の活動に賛同して回想療法の研究活動に参加される方々、回想療法を学びたい方々を募集しています。
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